事業実績 在来生態系の保全復元活動 ナガエツルノゲイトウ関連 オオバナミズキンバイ・ナガエツルノゲイトウの繁茂状況確認調査(2019年春季)報告

オオバナミズキンバイ・ナガエツルノゲイトウの繁茂状況確認調査(2019 年春季)報告 2019/3

2019年3月29日(金) 午前9時30分集合、9時45分~11時50分
場所 手賀沼上沼~ハス帯~高野山新田植生帯
参加者 滋賀県立大学:上河原献二さん,県立中央博:林紀男さん,手水協(県水質保全課副課長):小泉直弘さん,美手連:7名,NPO法人アルバトロスヨットクラブ:古川(「みずすまし号」の出動協力)
報告 小倉久子 (美手連)
※この調査は手賀沼流域フォーラム調査事業の一環です。

調査地点図 ※黄色番号:掲載写真地点

 手賀沼では、3月下旬から高水位管理となっていて、調査当日はすでに水位が上がっていた。そのため、前年繁茂したナガエツルノゲイトウ(以下、ナガエ)の一部が岸から浮き上がり、枯れた茎が集まった状態で沼内を漂流したり、岸に漂着していた。それらの切れ端からは多くの発芽が観察され、漂着した場所で新しいナガエ群落が形成されることが想像された。

 一方、沼の中を漂っているかたまりの中には、オオバナミズキンバイ(以下、オオバナ)の切れ端は見当たらなかった。オオバナは、茎の構造が折れにくいためか、枯れた茎の多くは前年生育した場所にそのままとどまっているようであった。オオバナは発芽直後のちぎれやすい浮葉が切れて流れていることが観察されており、ナガエとは異なる方法で拡散・繁茂する可能性が考えられた。

 ナガエやオオバナの侵略によって、抽水植物群落の衰退が進んでいた。オオバナがマコモやヨシに這い上ったまま枯れている様子も観察され、特にヨシよりも沖側のマコモ帯の衰退が著しかった。


①手賀大橋の下 漁協桟橋を出発して上沼に向かう途中で、早くもナガエのかたまりに遭遇

②若松第4樋門 樋門の前面に漂着ナガエ。陸地側のオオバナ(赤茶色)は、外部からではなく、この場で枯れたもののように見受けられた

③若松植生帯 オオバナは岸のマコモ(薄茶色)の根元に絡まるように這い上がって、枯れていた

奥の水路がふさがってしまった

④若松第3樋門 植生帯の間や前面は、前年の枯れた群落と漂着ナガエで埋まってしまった

⑤若松第2樋門 第2樋門前面には、ほとんど漂着はない

⑥若松第1樋門 オオバナ(赤茶色の部分)は1年前よりも広がっているように見えた

オオバナ(黄)は緑色の芽。ナガエ(白)は赤い芽

⑦我孫子新田地先 1年半前(2017年11月)に、あんなにがんばって駆除したところなのに・・・

⑧我孫子新田から上流側(北岸) オオバナが増えた。遠目には、ほぼオオバナに見える

オオバナが増えて、マコモ全滅か。ヨシもまばら

⑨船戸の森地先 なぜか、この地点だけオオバナが青々と育っていた

⑩大堀川河口左岸側

⑪大堀川河口前面の(元)ヨシ帯 昨年4月はナガエが腐敗していたところ。今年は腐敗までには、いっていない

⑫大堀川河口右岸側

⑬花火台船の下流側 昨年11月には、台船のまわりにオオバナが大群落を作っていたが、今回は枯れたオオバナも、ほとんど目立たなかった

⑭北千葉第二排水機場前面 2018年11月の状況と変わらない。ヨシ帯が衰退し、導水の流出口が見えている

⑮北千葉第二機場の下流側(南岸)

オオバナの茎はちぎれない
⇒流れにくい

たくさん芽が出ています! もう、水面下はすっかり春です!

⑰大津川河口右岸側 ヨシ帯の先に、ナガエが岬のように群落を形成

⑱ハス帯の中の大きなナガエ島 水鳥たちの休憩所?

⑲遊歩道地先(漁協桟橋の下流側) ナガエに混じって、赤茶色のオオバナが侵入しています